
論考「三つの寂しさと向き合う」
私たちはおそらく、いま先を急ぐのではなくここに踏みとどまって、三つの寂しさを受け止め受け入れなければならないのだと思っています。
一つは、日本はもはや工業立国ではないということ。
もう一つは、もはやこの国は成長はせず長い後退戦を戦っていかなければならないのだということ。
そして最後の一つは、日本という国はもはやアジア唯一の先進国ではないということ。
私たちはこれから「成熟」と呼べば聞こえはいいけれど、成長の止まった長く緩やかな衰退の時間に耐えなければなりません。