SASB(サスビ)とは?

「持続可能性会計基準機構」とか「サステナブル会計基準審議会」などと訳される、Sustainability Accounting Standards Board(SASB)という米国の非営利組織だ。

そこでつくられる情報開示ルールが、ESG(環境・社会・企業統治)投資のグローバル公用語になりつつある。

米ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者は、毎年始めに世界中の大企業トップに出す書簡「フィンク・レター」の中で、市場の潮流に影響を与えてきた。具体的に「SASBガイドラインに従った情報開示」を促した。

また、米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)のサイラス・タラポールバラCEOも、年始書簡の中で、R-ファクターと呼ばれる独自のESG評価の点数が低く、改善計画もつくらない企業について、株主総会で取締役選任を反対・保留する方針を伝えた。

R-ファクターの評点の基礎になるのは、SASB開示基準で業種別に特定される情報や数値だ。企業の立場からすれば、SASBに対応しなければ投資対象にすらならない、というメッセージにも聞こえる。

今年1~6月にSASB基準でESG情報を開示した企業は232社と、19年通年の2倍弱、18年通年の約5.6倍。SASB採用の4割は欧州やアジアなど米国外の企業だ。

ブラックロックやSSGAの動きが、流れを速めていくことは間違いない。他の欧米・日本の資産運用会社のESG担当者と話していても、「SASB推奨」の機運が濃厚に伝わってくるようになった。

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